「薬が飲みにくいから噛み砕い飲んでいいですか?」「錠剤のまま飲めないので粉々(粉砕)して飲んでいいですか?」
こう聞かれること、薬剤師ならよくあります。でも実は、粉砕すると効果が落ちたり、副作用が強く出たりする薬がある。今回は 粉砕NGの薬 について、理由と具体例を交えて解説するよ!
粉砕調剤とは?
まず、「粉砕」という言葉について解説すると、 何らかの理由で錠剤のまま薬を飲むことができない場合に、錠剤を砕いて粉薬の形にすること を指します。一般的には、薬を飲みやすくするために行われます。
ただし、 すべての薬が粉砕できるわけではありません。 例えば、苦味を抑えるために特別なコーティングが施されている錠剤を粉砕すると、 苦みが強くなり、かえって飲みにくくなる ことがあります。
どういう場合に粉砕調剤をするのか
粉砕調剤が行われる理由は主に以下のようなケースがあります。
✅ 嚥下障害(飲み込みにくい) → 高齢者や嚥下機能が低下している患者さん向け
✅ 小児用の調整 → 錠剤が大きすぎて飲めない子ども向け
✅ 経管投与(胃ろう・経鼻チューブ) → 口から飲めない場合の投与方法
ただし、 薬の性質によっては粉砕すると効果が落ちたり、副作用が強く出たりすることがあるため、自己判断で粉砕するのはNG! 必ず医師や薬剤師に確認することが大切です。
粉砕調剤がNGの時の主な理由
薬が粉砕できない理由は大きく分けて4つあります!
- 徐放性(徐々に溶けるタイプ)だから(絶対NG)
- 錠剤が特殊なコーティングや構造になっていて、 ゆっくり溶けることで効果を持続 するタイプ。
- 砕くと一気に薬が溶けてしまい、 効果が短時間で切れるor副作用が強く出る ことがある。
- 例:アダラートCR(ニフェジピン)、リスモダンR(ジソピラミド)
- 腸溶性(小腸で溶けるタイプ)だから(原則NG)
- 胃で溶けると胃酸により効果がなくなることを防いだり、副作用予防目的に腸で溶けるように特殊な膜があるタイプ。
- 砕くと胃で溶けてしまい、 胃の負担が増える&効果がなくなる 可能性がある。
- 例:ラベプラゾール(パリエット)、アスピリン腸溶(バイアスピリン)
- 苦すぎて飲めなくなる(場合によってはOK)
- 砕くと めちゃくちゃ苦くなる から、服用が難しくなる薬もある。
- 例:エスゾピクロン(ルネスタ)、リボトリール(クロナゼパム)
- 取り扱い注意の成分が飛び散る(粉砕できる場合があるが危険なのでNG)
- 抗がん剤やホルモン剤のように 粉が飛び散ると危険 な薬もある。
- 砕くことで 吸い込んだり、皮膚に付着するリスク が増える。
- 例:タモキシフェン、抗がん剤など
粉砕できるか迷ったら?
- 薬剤師に確認! → 医師の指示で粉砕する場合でも、本当に大丈夫かチェックするのが大事。
- 代替方法を探す! → 散剤・液剤・OD錠(口腔内崩壊錠) など、砕かなくても飲める形があるかも!
- 粉砕してもOKな薬もある → すべての薬が粉砕NGというわけじゃないので、正しい情報を知っておくことが大事。
まとめ
✔ 粉砕NGの薬には理由がある!
✔ 主な理由は「徐放性」「胃への影響」「苦味」「危険性」
✔ 飲みにくいときは薬剤師に相談!
「飲みやすくするために砕いたのに、逆に危険になる」なんてこともあるから、 自己判断で粉砕や噛み砕いて飲まずに必ず確認しよう!
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